2015年11月号

地域で事業を興す

地方創生マーケティングの実例 エネルギーの地産地消モデル

岸波 宗洋(事業構想大学院大学 教授、事業構想研究所 所長)

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東日本大震災を契機とした電力システム改革により、地域エネルギーを取り巻く事業性は著しく進歩した。地方自治体が発電を主体的に行う自治体PPSなど、地域にキャッシュフローをもたらすビジネスモデルが次々と育っている。その仕組みとはどうなっているのだろうか?

安倍政権が掲げる成長戦略における最も重要な柱が「地方創生」であることは論を待たない。既に経常収支比率が95%以上に逼迫している自治体は100をはるかに超えており、徹底的なリバランシングを求められている。

そもそも、地域経済が疲弊したことを他人事とみなしてはいけない。

東京を離れ、数十キロも進めば、見渡す限りのソーラーパネル群が出現する。これらの所有者・利権者の大方は都市型企業であり、実際にパネルを設置している地域には、せいぜい固定資産税くらいしかお金が入らない。しかも、メンテナンスが極力不要であるため、地域住民に雇用の恩恵さえ与えない。ただでさえ殺伐した風景に輪をかけて、人の姿もまばらである。

また、どの地域にいっても都市型チェーン店が軒を連ねている。もちろん、店員は地域から雇用されており貢献してないわけではない、が、より高給のエリアマネージャー等は本社からの派遣が前提となるし、フランチャイズ店から本社へのロイヤリティバックは必然だ。つまり、すべてにおいて都市にお金が流れ込む仕組みになっていることが問題なのだ。

一方で、エネルギーを取り巻く近年の動向、とりわけ電力システム改革に伴う地域エネルギー事業においては、地域へのヒトやカネの流れが明確に担保できるとして、自治体を含めた地域企業の様々な取り組みがスタートしている。

仕組みはこうだ。

まずは、バイオマス等再生可能エネルギー分野で雇用や地域経済への相乗効果を得られやすいエネルギー開発を前提とする。バイオマスひとつとっても、燃料となる木質チップを供給する森林組合や運搬する物流、ペレット化加工、エネルギープラント本体の保守など雇用種別が多様化する。これらを担保するためにFIT(全量固定価格買取制度)が2012年から制度導入されており、2000kWh未満の発電設備においてkWh単価が40円と最高値で20年間買い取り続けてもらえる。つまり、キャッシュインと雇用を担保した状態を迅速に構成できる。

さらに、2016年に開始される電力小売自由化に伴い地域住民すべてが電力顧客となり得る。つまり生産と消費を地域において担保することで、FIT適用20年の間にモデル化を成熟させ、その後の永続的なキャッシュフローモデルを成立させる、という青写真がすぐに描けるのだ。

この際に、最も重要なことは「色や形のない電力をどう差別化し地域に販売するのか?」というマーケティングエフォートそのものである。このコモディティマーケティングを実現することこそが、地方創生マーケティングの実例課題である。

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