鉄道の未来は? JR東日本が異業種連携で狙うゲームチェンジ

JR東日本は、IoT・AI時代のモビリティのオープンイノベーションを目指し、約130の企業・団体が参加するコンソーシアムを立ち上げた。大量・定時輸送に、個々の乗客の便利さを組み合わせたサービスへ、実証実験を開始している。

中川 剛志(東日本旅客鉄道技術イノベーション 推進本部ITストラテジー部門次長)

公共交通機関は、運転免許を持っていない人や子ども、高齢者にとっては不可欠のモビリティだ。中でも鉄道は、最も歴史もあり、信頼が厚い移動手段といえる。東日本旅客鉄道(JR東日本)は、2017年9月、鉄道事業者として、オープンイノベーションの形で未来のモビリティを考える「モビリティ変革コンソーシアム」を発足させた。

鉄道会社が考える新モビリティ

JR東日本では、2016年11月に策定した「技術革新中長期ビジョン」において、「オープンイノベーションによりモビリティを変革する場の創出」を打ち出していた。同コンソーシアムは、これをもとに設置したものだ。

「社外と協力してオープンイノベーションを成功させるには、個別に進めるよりも、コンソーシアムの形にした方がよいだろうということで、この体制となりました。JR東日本としては初めての試みです」と同社技術イノベーション推進本部ITストラテジー部門の中川剛志氏は話す。

モビリティ変革コンソーシアムには、鉄道会社などの交通事業者や、メーカー、金融機関、大学や研究機関など約130組織が参加している。「Door to Door推進」「Smart City」「ロボット活用」の3テーマでワーキンググループを作り、その下に参加者の狙いに則したプロジェクトを置き、幹事社が中心になって各プロジェクトを回す、という体制だ。駅周辺のまちを楽しむ施策から、鉄道の安全性を向上し、メンテナンスを効率化するものまで、プロジェクトテーマは多岐にわたる。

コンソーシアム発足の背景には、カーシェアや自動運転の実用化をにらんだ自動車業界の変化がある。自動車が「所有するもの」から「必要な時だけ使うもの」になり、また自動車が運転までを担うようになれば、ドライブの楽しさを武器にマイカーを売り込んできた自動車メーカーは、ビジネスモデルを変更せざるを得ない。このため自動車会社は、既にサービス業への脱皮を考え始めている。一方で、鉄道はどのように変化していくべきなのか。

「もともとサービス業で、ライドシェアも実現している鉄道にとって、未来のサービスとは何か。鉄道は、大量の人を、安全かつ時刻表通りに運ぶ、という仕事を毎日続けています。しかし今後、個々のお客さまに合わせたサービスをどのように提供していけばよいのかは、考えるべきテーマと言えるでしょう」と中川氏は話す。

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