アマゾンの先住民から学ぶ 自然と共存し、生き抜く力

医師であり、探検家・関野吉晴氏。「カレーライスを一から作る」という課外ゼミを武蔵野美術大学で行い、物の原点を知ること、そして自分で問いを作り、答えを出すことを伝える。

探検家、武蔵野美術大学教授 関野 吉晴

自分で問いを作り、答えを出すことの重要性

―映画「カレーライスを一から作る」を見ると、自分で体験するのが一番であることを実感でき、考えることは素晴らしいと感じます。この取り組みは、どのようにして始まりましたか。

私が大事にしているのは物の原点を知ること、そして自分で問いを作り、答えを出していくことです。

現在は武蔵野美術大学で授業をしていますが、学生たちにはこれらをやってほしいと思っています。汗をかき、筋肉を動かし、自分でやることによって様々な気づきがあります。

例えば、自分が飲んでいる紅茶がどのようにできているか、考えたことはありますか。調べると、多くのことがわかります。茶葉は国産なのか、インドから来ているのか、複数の種類が混ざっているのかと、問いを自分で作り、考えていきます。また、茶葉を摘んでいる人たちはどのような暮らしをしているのか、それによって豊かになり、幸福になっているのか、紅茶はどのように日本へ運ばれているのかと様々な問いを作ることによって世界が見えてきます。

また廃棄することまで考えます。廃棄されるとどこへ行き、どのように処理されるのか、あるいはリサイクルされて、次はどこへ行くのかと考えることもできます。そのように考えていくと、人間は元々どこから来て、どこへ行くのかという問いもあるでしょう。私は、人類が誕生した地から世界に広がっていった道を遡る旅「グレートジャーニー」を行いましたが、この問いを作る考えから来ているのです。

ものを一から作ってみることにも、多くの発見があります。私は8年前、大学の課外ゼミで「自然から直接採取した材料だけで、手作りのカヌーを作ろう」と学生たちに呼びかけ、カヌー作りに挑戦しました。

木を切り倒すための鉄器作りは、砂鉄を砂から集め、製鉄して作りました。まさに一からカヌーを作ったのです。武蔵野美術大学だけでなく、他大学からも含めて200人ぐらいの学生が集まり、このプロジェクトは熱気がありました。

そして昨年の課外ゼミでは、「食べ物を一から作る」という案が出て、カレーライスを作ることになりました。

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