IT企業が続々と集まる商店街 民間人の起用で成果

日南市・﨑田市長に起用された民間人がきっかけをつくり、変わり始めた商店街。かつてシャッター街だった場所に、次々に店舗がオープンし、IT企業がサテライトオフィスを置くなど、活気が生み出されている。

2015年11月、油津商店街の中心部にオープンした多世代交流モール「油津yotten」。かつて油津商店街の核施設であったスーパーマーケット跡地につくられた

人通りの寂しいシャッター商店街を、たった3年で蘇らせ、経済産業省が選定する「はばたく商店街30選」にも選ばれた日南市・油津商店街。数々のベンチャー企業が進出し、地方創生のモデルとして全国から注目を集めている。その改革の軌跡について、同市マーケティング専門官である田鹿倫基氏はこう語る。

「最初は、誰もがここまで再生するとは思っていなかった。行政と市民が一丸となって主体的にまちづくりに取り組んできたから、今があるのだと思います」

田鹿 倫基(日南市マーケティング専門官)

1年目は信頼関係づくり

「油津yotten」には、遊び場となるフリースペースがあり、鉄道模型のイベントなど、大人も子供も楽しめる催しが行われている

日南市は、2013年に中心市街地活性化事業の一環として、各地でまちづくりの実績を持つ木藤亮太氏と、マーケティングの専門知識を持つ田鹿氏の2名の民間人を起用。行政と民間の二人三脚で、油津商店街の再生を行ってきた。

「油津商店街の再生については、2013年からテナントミックスサポートマネージャー(通称サポマネ)の木藤さんを中心に『4年で20店舗のテナントを誘致する』という具体的な目標を掲げて取り組んできました」

木藤氏は採用決定後、家族で福岡県から日南市に移住。2013年7月から油津商店街のサポマネとして活動を開始した。着任後すぐに、商店街の空き店舗を利用して子供からお年寄りまで市民が集い、語り合うことができる多世代コミュニティスペースをオープン。

その後は、油津アーケード農園、七夕祭り、ファッションショー、50mボウリング大会など、市民が考えたアイデアをもとに次々にイベントを開催し、誰もが参加したくなる、応援したくなるまちづくりを進めていった。

「木藤さんは、1年目は基礎固めの時期と考え、地域や商店街の現状把握と信頼関係づくりに力を注ぎました。地域を巻き込み、市民が主体的に動く雰囲気づくり、お互いの信頼関係づくりを丁寧に時間をかけてしたからこそ、2年目以降、スピード感のある大胆な改革ができたのだと思います」

そして、市民に復活が望まれていた「土曜夜市」を約20年ぶりに開催。これまで地元に全く興味がなかった人々が、商店街に参加するきっかけが生まれていった。

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