小さな自治体の挑戦 Small is powerful?

地域活性学会の第8回研究大会が長野県小布施町で開催された。大会はこれまでで最も多い360名が参加し140タイトルの研究発表が行われ、活発な議論が繰り広げられた。

長野県小布施町で開催された「地域活性学会 第8回研究大会」

地域活性学会(大宮登会長、事務局:事業構想大学院大学内)は、2008年の設立以降、研究者だけでなく、自治体、企業、NPOなど地域活性化に関わる実務家が多く会員となっていることが特徴で、地方創生分野では最大規模の810名が会員として活動している。毎年1回開催されている研究大会(全国大会)は、今年は9月2日(金)〜4日(日)の3日間、長野県小布施町で開催された。

大学のないまちで初の研究大会

開催地となった小布施町は、長野県北東部に位置する人口1万1000人、面積は長野県内最小の小さな町。長野市から電車で30分、古くからの温泉地で名高い渋温泉や湯田中温泉までの中間地点にある。1970年代からの官民連携による連続的なまちづくり活動の成果により、年間100万人の観光客が訪れる「地域活性の成功事例」として有名なまちである。

今回の研究大会は、学会として初めて“大学のない地域・施設”での開催となった。大会のテーマは、「小さなまちの挑戦~地方創生とまちづくり」。ホストを務めた小布施町をはじめ、小規模自治体がリードする形で進められてきた様々な地域活性におけるチャレンジやその可能性、課題に目を向ける機会となった。

 

●1日目:エクスカーション

初日の9月2日には、小布施町のまちづくりのこれまでの経緯や現状について現場で学ぶエクスカーションを実施し、50名が参加した。 はじめに小布施町の市村良三町長より、小布施のまちづくりの経緯についてレクチャーを受けた。

小布施町には、江戸時代末期に葛飾北斎が江戸から3~4回訪れて逗留している。地元で迎え入れたのは、この地の豪農豪商であった高井鴻山(こうざん)。鴻山は京都や江戸で学問を修め、当時の文化人とも広く交流をもっていた。北斎は小布施での逗留中に作品を残している。その遺産をもとに町の中心市街地に「北斎館」が1976年にオープンしている。

続いて高井鴻山記念館を町が計画した際に、駐車場確保などの理由で、それまでの町並みの雰囲気が壊されそうになり、それが契機となって、地権者や町が協力し合い、お互いの土地を交換したり、曳家で移動することで、まちの景観をつくっていった。また、元々畦道であった道も、栗の木が敷き詰められた「栗の小径」という路地として、あたかも昔からあるような雰囲気をつくりあげた。栗菓子の「小布施堂」、造り酒屋の「桝一市村酒造場」などが風景の一部となっている。

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