民泊や相乗りなどのシェアリングエコノミー グレーゾーンへの対処方法

新規事業を開始する際、日本では初めて、ましてや世界でも初めてというケースは、法制度が未整備であることが多い。最近では、AirbnbやUberに代表されるシェアリングエコノミー分野で頻出しており、その対応が必要だ。

Uberの時価総額は、GMやホンダを上回り自動車関連産業第5位(写真はイメージ)Photo by D.R. /Adobe Stock

これまで行われてきたことがない新規事業を始めるにあたって、その事業を行うことが法律上問題とされないかという論点が浮上することがしばしば存在する。法制度が全く整備されていないケース、既存の法律においてグレーゾーンであると言われているケースなど様々なものがあるが、このような事業を始めるにあたって、法務的な観点からはどのように進めたら良いのだろうか、そのような法律相談が持ち込まれることもよくあることである。

今回は、上記のような論点に対して、法務的にはどのように対応したらよいのかについて説明したいと思う。なお、本稿は、個々のケースについての合法性を述べることを目的とするものではないため、文中で事例を紹介するものについて、合法であるか違法であるかの意見を述べるものではないことをあらかじめご了解いただきたい。

最近取り上げられた事例

この手の問題で、最近マスコミ等などで取り上げられた事例としては、シェアリングエコノミーの分野から、民泊や個人の自動車の活用といったところであろう。

いわゆる民泊の問題については、当初、旅館業法に違反するのではないかかとの論点が提起された。施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業は旅館業法における免許が必要とされており、無免許のまま民泊を行うことは旅館業法に違反するのではないかという論点である。この問題については、警察による事情聴取や捜索等の捜査が行われる事態に発展した例もあった。その後、東京都大田区が、国家戦略特別区域、いわゆる特区に指定されたり、また、今年の4月には旅館業法の一部が改正されるなど規制緩和の方向へ進みつつある。

また、個人が空いている時間に自家用車を用いて他人を送迎して料金を徴収する仕組みについても、道路運送法における免許が必要であるとの論点が提起された。

さらに、スマートフォンにおけるゲームでは新しい課金アイテムがいろいろと考案されて、ユーザーに提供されているが、これらのうち、資金決済法上の「通貨」であるとして、同法所定の供託金を積むように命じられた事例も記憶に新しい。

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