「緩やかさ」が生む地方独自色 なぜ今「道の駅」なのか

休憩施設としてだけでなく、観光資源、地域センター、防災拠点としての役割も担う「道の駅」。地域活性化の中核拠点として期待が高まる中、どう進化していくのか。「道の駅」有識者懇談会委員長の筑波大学・石田東生教授に話を聞いた。

石田 東生(筑波大学システム情報系社会工学域 教授、国土交通省「道の駅」有識者懇談会 委員長)

地域の中核拠点として機能

─現在、道の駅は全国1093駅。1993年スタート時から20年強で10倍以上に拡大しています。

道の駅が全国に拡まった大きな理由は設置登録要件にあると考えています。「24時間利用可能な一定数の駐車場、トイレ」、「24時間利用可能な電話」、「情報提供施設」。この3要件が満たされていれば、他の付帯施設は独自の展開ができる。地域ごとの柔軟な運営を可能にした、この“緩やかさ”は道の駅を考える上で重要なポイントのひとつです。

道の駅の役割にはいくつかありますが、まずはベーシックな観光窓口機能です。秋田県南秋田郡の<おおがた>では八郎潟干拓の歴史を展示した博物館を併設。男鹿半島観光の中核施設となっているように、多くの道の駅が観光におけるゲートウェイ機能を担っています。

一方、和歌山県東牟婁郡の<瀧之拝太郎>には診療所や役場の出張所があり、地域住民向けのサービスを提供しています。このように地域センターとしての役割を果たす道の駅が増えているのも最近の特徴でしょう。

さらに近年注目されているのが防災機能です。契機は2004年の中越地震。非常用発電設備を備えた道の駅が避難場所として注目を集め、東日本大震災の際には<遠野 風の丘>(岩手県遠野市)が自衛隊・消防の基地として活用されたように、道の駅は災害時の支援拠点になることも証明されています。

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