パウダースノーだけじゃない、ニセコの取り組み

世界有数のパウダースノーの聖地として知られているニセコ。冬のシーズン中は観光客約90万人のうち過半数を訪日客が占める。もともと外国人が増加するきっかけとなったのは、ニセコに遊びに来た外国人の「口コミ」だ。冬季の印象が強いニセコだが、実は夏のインバウンド需要も高まっているようだ。

冬場のパウダースノーはオーストラリア人に大人気だ。ゴールデンウィークまでオープンしているゲレンデもある(上)。夏場は避暑地としてロングステイを楽しむ観光客もいる(下)。また、蝦夷富士(えぞふじ)とも呼ばれている「羊蹄山」がニセコのシンボルとなっている。

ニセコブランドの定着へ 「ニセコ観光圏」

世界も認めるリゾート地であるニセコだが、実は、ニセコ町のほかに蘭越町(らんこしちょう)、倶知安町(くっちゃんちょう)なども含める場合がある。例えばニセコエリア最大規模の「グラン・ヒラフ スキー場」は倶知安町内に位置している。そのため「ニセコブランド」として知名度を高めるには、「町」を超えた連携が不可欠となる。また、冬の話題が目立つ一方、夏の楽しみがまだまだ知られていないことも、見過ごせない課題だ。

そこで四季を通じたニセコブランドを国内外に定着させるため、「ニセコ観光圏」を形成、2014年度に国から認定された。発足後はコンテンツのブラッシュアップと国内外の垣根を越え、より多様な国々からの来訪を促進するためにさまざまな取り組みを実施。各地域との連携を強め、宿泊客数や消費額といった観光地マネジメントをする上で基礎的なデータの収集・公開を行っている。また、地域資源のガイドや体験インストラクターなどの人材育成にも注力している。さらにニセコ観光圏には各町の農業協同組合も参加している。今後は「農業」+「観光」の「体験型観光メニュー」も充実させていく考えだ。

日本初の取り組み 町の観光協会を「株式会社化」

ニセコの夏場はアウトドアライフの流行に伴い、テニス、乗馬、釣りなども人気を集めている。また、避暑地として1ヵ月を超えるロングステイを楽しむ国内シニア層も増えている。しかし町の観光協会だけでは意思決定も遅く、十分な商品開発を行えていなかった。

そこで、ニセコ町では通年型の観光地の実現に向けて日本で初めて観光協会を株式会社化し、観光開発に向けて動き出していた。2003年に株式会社化されたニセコリゾート観光協会ではニセコの魅力を伝える商品開発を中心に事業を展開。まちづくりのサポートも行っている。

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