故郷群馬を「起業」の聖地に JINS・田中仁社長インタビュー

眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌの田中仁社長が、故郷群馬の活性化を目指して、起業支援やまちづくりに奔走している。田中氏の想いは、行政や大学、地元企業を巻き込んだ大きなうねりとなっている。

田中仁(ジェイアイエヌ 代表取締役)

2015年12月、群馬県前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で開催された「群馬イノベーションアワード2015」。群馬での起業や新事業創出を目指す社会人や学生が登壇、約2000人の聴衆の前でビジネスプランを披露した。

3回目を迎えたこのピッチイベントを提唱し、地元紙の上毛新聞社とともに実施しているのが、眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌの田中仁社長。自身が設立した財団法人を母体に、群馬イノベーションアワードのほか、社会人と学生を対象にした起業家育成スクール「群馬イノベーションスクール」の開講や、前橋市中心市街地活性化の拠点「前橋まちなか研究室」の運営、前橋市・地域有識者との協働により都市のビジョン策定とブランディングを進める「前橋ビジョン委員会」など、幅広い分野で地域づくりに取り組んでいる。

アイウエアブランド「JINS」を急成長させた経営ノウハウを、群馬に還元する

経営ノウハウを地域に還元

田中氏は群馬県前橋市に生まれ、信用金庫勤務などを経てジェイアイエヌを設立。2001年に「JINS」を立ち上げ、アイウエア事業に参入。瞬く間に販売本数日本一の眼鏡ブランドに育てあげた。

「50歳を迎えて、自分以外のところにエネルギーを向ける時期になったと思いました。これまでの自分の経営で培ったノウハウが活かせるとすれば起業家支援。生まれ育った群馬で、自分ように、起業という選択をして可能性を切り拓ける人材が眠っているのではないかと考え、2013年より群馬イノベーションアワードを開始しました」

群馬イノベーションアワードは、起業や第二創業を目指す人からプランを募集する「ビジネスプラン部門」、創業5年未満が対象の「スタートアップ部門」、創業5年以上の「イノベーション部門」の3部門で実施。ビジネスプラン部門では高校生や大学・専門学校生のチームも参加する。群馬から次代を担う人材を発掘し、その取り組みを社会に紹介して事業化を支援する。

2015年のエントリー数は110件と初回からほぼ倍増し、大賞にはマレーシアでの工場排水浄化ビジネスを構想する前田設備の前田善成氏が輝いた。協賛企業や参加者からは、「有望案件に投資したい」といった声も多くあがっており、今後、実行委員会では投資を含む起業支援スキームづくりを進めるという。

入賞者はシリコンバレーへの研修ツアーに招待。アップルやグーグル、スタンフォード大学などのイノベーションの現場を視察し、事業家や投資家と交流を深める。「私自身がそうでしたが、地方の起業家は、外の世界に触れる機会が少なく“井の中の蛙”になってしまいがちです。東京や海外に出て刺激を受け、目線を変えることが経営においてとても大切だと考えます」と田中氏は述べる。

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