町工場を開放し、4日間で約2万人を動員した仕掛け-三条市-

金属加工品の産地、新潟県燕三条地域で町工場が一斉に開放されるイベント「燕三条 工場の祭典」。期間中は街全体がピンクストライプで彩られ、2015年は4日間で約2万人を動員。國定勇人三条市長は、「まちの財産は工場にある」といい、持続可能なまちづくりの仕掛けについて語った。

工場を活用したブランディングで地域に人を呼び込む

田中 「燕三条 工場(こうば)の祭典」を始めたきっかけは?

國定 三条市は江戸時代から続く鍛冶職人のまちでありながら、県外の人間からすると、ものづくりのまちの“匂い”を感じられないという問題がありました。金属加工という独自の事情から、騒音・公害対策として工場を郊外に追いやったり、住宅街の中にあってもひっそりと営業しなければならなかったからです。また、価格競争に対抗しうる見せ方も課題でした。いくら良質の包丁でも「バナナの叩き売り」のごとくただ並べるだけでは、100円均一の店の商品との違いが伝わらなくても仕方がありません。価格競争から脱却するために、作り手側が商品の価値を正確に伝える取り組みを行わなければならない。そんな危機感もありました。

田中 2つの問題を解決するために、まちの財産である町工場を開放し、見学のほか包丁作りなどのワークショップを実施したわけですね。

國定 一見、普通の一軒家に見えても、一歩中に足を踏み入れれば、赤々と燃え上がる炎が見えたり、鉄を切ったり、金鎚で叩いたりする音が聞こえてくる――。こんなワクワクする工場の様子や職人たちの技術を一般公開してはどうか、と思い立ったのがきっかけです。神田神保町出身の私も、子供の頃、そこかしこで聞こえてくる輪転機の音やインクの匂いに心が踊ったものです。

田中 生産現場を見てもらえば、商品に対する信頼感が高まりますね。

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