「薔薇焼酎」を生んだ焼酎蔵元 地域貢献への思いがヒット商品に

焼酎王国鹿児島において、「手造りの最大蔵」を目指す大海酒造。地元鹿屋市のまちづくりと歩調をあわせた「ばら焼酎」の開発など地域に根ざした商品開発で、ブランド地位を高めている。

8haに5万株のばらが咲き誇る日本最大級の「かのやばら園」

1975年に協業組合として創業した大海酒造は、大隅半島を代表する焼酎蔵だ。温暖な気候と水はけの良い広大なシラス台地の土壌に恵まれた鹿屋市で、地元の契約農家が生産した良質なさつま芋だけを原料に、一貫した焼酎造りを行っている。

30名の小規模な蔵ながら、芋の選別や芋切り、一次・二次仕込みの櫂入れも、すべて人の手、人の目によるもの。大量生産はできないが、手造りの蔵ならではの味わい深い焼酎を造り続けてきた。

大海酒造が開発した、ばら焼酎「薔薇の贈りもの」

「手造り」にこだわり成長
他社とは異なるマーケティング

「大海酒造が目指すのは、『手造りの最大蔵』です。私たちの蔵の規模になると、機械化された部分があるのではないかと思われがちですが、そこは人の手にしかできないことにこだわっています」と話すのは、代表取締役の河野直正氏。

河野直正 大海酒造代表取締役

生産量に限りがあり、焼酎ブーム時も品薄になることもあったが、品質を落とさないように増石することなく、粛々と手造りの焼酎にこだわってきた。

また、焼酎の消費層の多くを男性が占める中、大海酒造は、大手メーカーと違うマーケティング手法で商品展開を行ってきた。

「大海酒造では、焼酎ブーム以前から『芋焼酎は男が飲むもの』という固定観念を払拭し、大規模メーカーとは違う、新しいマーケットを狙って商品開発に取り組んできました。特に、これまで焼酎とは疎遠だった女性層にターゲットを設定し、女性が商品開発に関わることで、新しい顧客に受け入れられる焼酎を造ってきました」

焼酎の銘柄としては珍しい、漢字一文字の「海」と名付けられた焼酎を筆頭に、くじらの絵柄のみが描かれたラベルの「くじらのボトル」など、デザイン的にもおもしろく、味わいを追求しながらも芋臭くない、女性にも飲みやすい焼酎を販売している。

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