災害対策に「航空機」を活用 自治体との連携促進

災害対策の一翼として、民間が提供するエアレスキューに注目が集まっている。航空機リースを活用し、無償の災害時支援を行うのが「日本エアレスキュー促進協議会」だ。自治体や企業と協定を結び、活動エリアの全国カバーを目指す同団体の取り組みを紹介する。

小型航空機「ピタラスPC-6」

過去2回の大災害で高まる民間エアレスキューの必要性

東日本大震災以降、余震や火山性地震が多発し、身近に迫る自然災害への懸念が広がっている。近い将来、南海トラフ地震や首都圏直下型地震の発生が危ぶまれる中、次なる災害に備えてどのような対策を講じるべきなのか。災害対策に悩まされる自治体の一助となりえるのが、民間が提供するエアレスキューだ。

大災害発生時は、国や自治体からの要請に応じて自衛隊ヘリや消防ヘリが出動するのが一般的だが、意思決定プロセスが複雑で、手続きに時間がかかるといったデメリットがある。このような事情から、民間の力で航空機を使った災害時支援を行うことを目的として、2014年6月に設立されたのが一般社団法人「日本エアレスキュー促進協議会(以下、エアレス協議会)」である。大規模災害時にヘリコプターと飛行機を無償で提供し、被災自治体の救援救護業務をサポートする他、救援物資や医薬品の搬送、医師の派遣・治療などの医療支援を行う。

「過去2回にわたる大災害時の経験が法人の設立を思い立たせた」と語るのは、代表理事の中山智夫氏。今日まで一貫して航空機業界に身を投じてきた人物だ。伊藤忠商事勤務時に、航空機や船舶などの大型ファイナンス・プロジェクトに携わった後に独立し、航空機商社「ITCアエロスペース」と航空機リース会社「ITCリーシング」を設立。JALの再生では稲盛和夫氏の参謀を務めた。

中山 智夫(日本エアレスキュー促進協議会 代表理事)

阪神・淡路大震災では、神戸市からヘリコプターの手配を依頼され、無償貸与した「BK117B-2」が復興作業で重要な役割を果たした。東日本大震災では、首相官邸から福島原発の冷却作業に使用する航空機の緊急要請を受けたが、そこにはいくつもの障害が立ちはだかった。急遽手配した世界最大の米国製超大型ヘリコプター「エア・クレーン」(積載量10トン)2機を手配したが、日米間で放射線量の測定にギャップが生じ、やむなく断念することになったのだ。次いで、浮上したのがプッツマイスター社の西独本社工場と米国工場にある4台の超大型ポンプを運搬する案だ。

ポンプ車の重量は80トン。その上、4台も手配しなければならず、2ヶ月もかかる海上輸送ではとても間に合わない。「道路が寸断し、湾岸設備も機能しない災害発生時、唯一残された輸送手段が空輸だったのです」

そこで、世界に数機しかないロシアの超大型貨物機「アントノフ124」(積載量 120トン)をチャーターして空輸でポンプ車を搬入、危機一髪のところで事なきを得た。中山代表理事はこうした経験から、当時を次のように振り返る。

「大災害時の救急対応には、特殊な専門家の力が不可欠だと感じました。長年航空機業界で培った経験とノウハウをもとに、今こそ民間の力で緊急救援・救助システムを構築しなくてはならないと認識したのです」

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