社員満足度調査NO.1 西精工の組織風土改革

社員満足度日本一の企業として評価され、数多くの経営賞にも輝く西精工。しかし、ほんの10年前まで、今とは全く違った雰囲気の会社だったという。社是・社訓を捨ててまで取り組んだ、西泰宏社長の組織風土改革とは。
文・坂本洋介 アタックス社長塾推進室

 

西精工は社員の幸福・満足を追求した経営で知られる

大正12年(1923年)の創業から徳島市に本社を有し、ナットを中心としたファインパーツ(お客様にとって価値の高い製品)の製造・販売を行う西精工。化学産業の比重が大きい徳島において、微細加工や冷間鍛造の技術を磨き、日本中の大手自動車・電機メーカーと取引する優れた中小企業である。

社員満足度日本一企業としても評価されており、近年では「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(中小企業庁長官賞)や日本経営品質賞などを受賞している。しかし、現社長の西泰宏氏が入社した当時の状況は、今とは全く異なっていた。

後継予定であった従兄弟が急逝し、急遽、後継者として戻ってきてほしいと、1998年に呼び戻された西氏が感じた会社・社員の雰囲気は、「とにかく暗いということだった。挨拶をしない。始業時間ぎりぎりに出社をしてくる。社員の多くが楽しくなさそうに仕事をし、自分たちが作った製品が工場内に落ちていても、誰一人、気にすることがなかった。

前職で広告代理店に勤務していた西氏は、自分たちが作ったCMや広告がテレビや雑誌に取り上げられ、それを見た人たちが商品を買ってくれると、純粋に嬉しかった。それが当たり前だった西氏からすると、製品が床に落ちていても拾わないというのは、自分の現場や製品に対して、こだわりがないように感じた。

その疑問を、社内に投げかけてみたが、創業以来、一度も赤字がないという現状に浸りきっていた社員は誰も取り合わなかった。

西泰宏 西精工 代表取締役社長

経営理念で全てが動き出す

そこで、まず自分が率先垂範して、挨拶と掃除の徹底を始めた。ただ社長が先頭に立ってやったからといって、すぐに結果が出たわけではない。何人かの社員はついてきたが、多くの大半は「そんなことして何になるのかという冷めた雰囲気のままであった。

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