聴き手が没入する「語り」の技法 擬音語と第三者の登場がカギ

「パブリックスピーキング」の第一人者が、シナリオの技法を伝授。人を行動に駆り立てるようなスピーチは、話し手が経験した出来事を、聴き手が追体験できるように、話が組み立てられている。

多くの人は、スピーチが持つインパクトを過少に考えています。実際、スティーブ・ジョブスのスピーチは、世界を変えるような力がありました。

中小企業やベンチャーでも、スピーチ一つで、1億円の売り上げを立てることもできます。私が支援した事例として、国際貢献を行う団体トップのスピーチを設計し、ほとんどゼロだった寄付金を年間1億円以上にしたことがありました。

スピーチは、聴き手に絶大な影響を与えるメディアです。まずは、その重要性を理解する必要があります。

蔭山洋介 スピーチライター ブランドディレクター 演出家

人が動き出す原動力は「祭り」

日本では、「パブリックスピーキング」という言葉は、一般的ではありません。具体的には、スピーチや演説、プレゼンなど「人前で話すこと」全般を意味する言葉で、欧米では当たり前のように使われています。

日本人のスピーチは、「書き言葉」を朗読するようなスタイルのものがほとんどです。本来のパブリックスピーキングは、普段の「話し言葉」を使って人前で話すことであり、音楽や演劇のような表現芸術の一つです。オバマの演説は、まさに芸術的なショーでした。

パブリックスピーキングは、人を行動に駆り立てます。論理的な説明では、人を動かすことはできません。また、思いの強さだけでも、人は動きません。人が動くのは、そこに「祭り」があるからです。

近年、日本でもハロウィンのマーケットが拡大しています。かつて、農耕中心の定住社会では、祭りがあって、そこでみんなが盛り上がりました。しかし、現在の都市社会では、多くの人は祭りを見るだけで、参加することはできません。現代は、祭り不足の時代です。その不足を埋め合わせたことで、ハロウィンは盛り上がったのです。

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