有田焼、創業400年目の挑戦 常識を打ち破る作品の数々

日本磁器の原点である有田焼。創業400年を控え、有田焼に新しい価値を生み出し、国内外に発信しようとさまざまなプロジェクトが動き出している。
取材:interior lifestyle TOKYO「新しいARITA」

 

次の100年の物語を紡ぐ

2016年に創業400年を迎える有田焼。来るべき次の100年に向け、伝統を受け継ぎながらも、時代に沿ったものづくりを進めること。そして有田焼の魅力を世界中に発信すること。これらを目的として佐賀県が中心となり、有田焼の再生・成長に向けて2013年から展開するのが、「有田焼創業 400 年事業」だ。すでに17のプロジェクトが進行中だが、一連の事業は「ARITAEPISODE 2」の名を冠している。

なぜ「EPISODE 1」ではないのか。そこには有田焼400年の変遷がある。遡ること1616年。その歴史は、朝鮮出身の陶工・李参平が有田の地で良質の白磁鉱を発見したことに始まる。17~18世紀に輸出が盛んになり、明治期にはパリ万博で最高名誉賞を受賞した。昭和に入ると、高度経済成長とともに国内需要が拡大。ピーク時の1990年には年間約250億円を売り上げ、有田焼は高価な伝統工芸品としての地位を確立した。

しかし現在、有田は危機を迎えている。安価な輸入品の普及や生活様式の多様化など、急速な時代の変化に対応しきれず、売上は最盛期の5分の1に減少した。待ったなしの状況の中、礎となった400年を「EPISODE 1」と位置づけ、次の100年へとつなぐため、官民が一体となって「EPISODE 2」という新しい物語を紡ごうとしているのだ。

なかでも注目すべきプロジェクトが、「2016/project(以下2016/)」と「ARITA Revitalizationつたうプロジェクト(以下つたうプロジェクト)」だ。前者は、クリエイティブ・ディレクターの柳原照弘氏を中心に展開。世界で活躍する16組の気鋭デザイナーと16の窯元・商社が協働し、外部からの視点を受け入れて有田焼にイノベーションを起こし、海外に発信する。後者は、窯元それぞれの強みを見つめなおし、その強みを発揮することで有田焼をリブランディングするという取り組み。伝統工芸品の再生で名高い、メイド・イン・ジャパン・プロジェクトの代表取締役、赤瀬浩成氏がプロデュースを行う。

今年創業400年を迎える有田焼。佐賀県の支援を受けながら、沢山の窯元が新しいものづくりや販路開拓に取り組んでいる

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