逆境を超える、地産地消の「思い」 ホテル・旅館と農家をつなぐ

早くから福島で地産地消の取り組みを進めてきた素材広場、横田純子氏。福島県内では3番目となる農林水産省「地産地消の仕事人」にも認定されるなど、活躍の場を広げ、現在、風評被害に直面する福島を盛り上げている。

素材広場は、会津漆器と会津の食材を使い、「会津ならではのおもてなし」を提供する観光の企画も行っている

かつては「食べ放題」、「高級食材」などが宿泊施設の売りとなっていたが、近年、旅行者は「その土地ならではの美味しいもの」を求めるようになった。

この変化を肌で感じていたのが、特定非営利活動法人・素材広場理事長の横田純子氏だ。会津若松出身の横田氏は、94年からリクルートの旅行情報誌『じゃらん』の営業兼ライターを務め、10年間、福島のホテル、旅館の集客プランの企画・提案をして広告をとり、記事を書く仕事をしていた。

福島の食材の豊富さを再発見

横田氏は2005年に独立した後も、フリーランスの立場で宿泊プランの企画や、ネット予約登録などの仕事をしていた。雑誌やインターネットで宿泊施設を紹介する際、どのような一文を加えるかによって、消費者の反応は大きく変わる。そうした仕事を通じて横田氏が注目したのが、「地産地消」へのシフトだった。

「2000年代の中頃、県内に地産地消を進めている宿泊施設は、ほとんどありませんでした。県外出身のある料理長は、『福島は地場食材の情報が薄すぎる』と言っていました。地元の食材を使いたくても、何をどこから購入したら良いのか情報がなかったんです」

横田純子 特定非営利活動法人 素材広場 理事長

地産地消のためには、宿泊施設と生産者をつなぐ取り組みが不可欠。横田氏は2005年、会津のホテルで働く3人のシェフと一緒に「福島県宿泊施設地産地消推進委員会」を立ち上げた。宿泊施設の担当者に声をかけ、月に1回、生産者を訪ねる交流会を始めたのである。

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