新しいパブリックの可能性 「空き」公共空間にアイデア

「楽しい公共空間」。この言葉を聞いて、どのような空間を思い浮かべるだろうか。実現を目指すのは、Open A代表の馬場正尊氏だ。これまで公共の場でイベントを企画する中で、度々「パブリックの壁」にぶつかった経験があるという。

「公園では子どもの遊びが規制される、市民が楽しむための新しいイベントも前例がないとできない。『パブリック』という本来の目的に沿って、市民に開放された空間が少なくなっています。このままでは公共空間は使われなくなり、莫大なお金をかけて維持されるだけの場所になってしまいます」

公共空間の有効活用は、今後の自治体の最重要課題のひとつである。人口減少で税収は減少していき、一方で、高齢者が増え、社会に求められる課題は多様化し、サービスの質の向上もしなければならない。財政状況から考えても業務を民間に委ねる必要がある。

PUBLIC DESIGN― 新しい公共空間のつくりかた
馬場正尊(著、編集)
Open A(著、編集)
学芸出版社
本体1,800円+税

新しいパブリックの可能性

佐賀県武雄市の図書館のように、民間に運営委託をしたことで公共空間が活性化し、利用者数が増えた例もある。

「廃校になった小学校、使わなくなった庁舎、倉庫、国鉄のトンネルなど、空きの公共空間は全国各地にあります。よりシンプルに社会に流通し、民間の資本やアイデアや人材が向かう仕組みを作っていくべきです」

著書「PUBULIC DESIGN」では、新しい公共空間を提示した6人の実践者たちにインタビュー。その中で、これからの時代に必要なパブリックデザインのキーワードを6つ提示している。マネジメント、オペレーション、コンセンサス、プランニング、マネタイズ、プロモーションである。新しいパブリックをデザインするには、6つの要素を横断的に結びつけ、強固につなぎとめる明快なコンセプトが必要だという。

さらに馬場氏は、自治体が抱える遊休施設を発掘・紹介するサイト「公共R不動産」を3月にオープン。自らモデルをつくり、紹介することで行政と民間をつなぐ役割を果たす。

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