周防大島から起業家を輩出 過疎・高齢化の島で育む「郷育」

10代に向けた「実践型キャリア教育」で起業家育成の事業を展開し、その先に「学びのリゾート」を産業化して、定住促進の実現を目指す。島おこしに尽力する起業家が描く、21世紀型スキルを見据えたこれからの地域づくりとは。

風光明媚な景観が広がる周防大島。しかし島の人口は、ここ50年で3分の1になり、高齢化率は約50%に達する。大野氏はこの島で、起業家精神を育む教育事業に力を注ぐ

山口県東部の沖、約1kmに位置する「周防大島」。本州とは橋で結ばれ、瀬戸内海では淡路島、小豆島に次いで3番目に大きな面積を有する。年間の平均気温は15.5度と温暖な気候に恵まれ、山の斜面を利用した柑橘類の栽培と漁業が盛んで、みかんの生産量は山口県の約8割、いりこも約9割と山海の名物も豊富だ。

50年で島の人口は3分の1に

しかし、豊かな自然が広がる風光明媚なこの島も、多くの地方町村と同様に過疎・高齢化の悩みを抱える。

1970年には4万人近くいた人口は、直近の調べでは約1万7000人にまで落ち込んだ。ここ50年で島の人口は、3分の1になったことになる。高齢化率も約50%で、これも日本の平均値を大きく上回っている。

大野圭司 ジブンノオト 代表取締役あ

「30年後も子供たちの笑い声が聞こえる島にしたい」と語るのは、ジブンノオトの代表、大野圭司氏。2004年にUターンで周防大島へ戻り、2010年から学校教育の中で故郷と起業についてのキャリア教育を行っている。

周防大島町立東和中学校での活動は、2012年度のキャリア教育優良校として文部科学大臣表彰を受賞。直近1年でも島内にある公立の中学校2校、山口県内の公立の高等学校を中心に、総合的な学習の時間を使って約500人のプレゼンテーション教育を行っている。大野氏が描く未来像は、「100年続く郷土をつくるための世界に誇れる郷育(=教育)を周防大島からつくり、日本の公教育にイノベーションを起こす」ことだ。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り70%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。