認知症予防や終末期ケアにも効果 医療アロマセラピーの可能性

アロマセラピーの基礎・臨床研究が進み、認知症予防や終末期医療への効果が明らかになる中で、地域医療にアロマセラピーを役立てようという薬局が登場してきた。アロマセラピー研究の最前線と、その可能性を探る。

芳香治療のエビデンスが揃い、医療や介護の現場でもアロマオイルが用いられるようになってきた

アロマセラピーへの「誤解」

日本でアロマセラピーといえば、美容や癒しを目的とした女性の趣味というイメージが強い。しかし、これを医療現場で活用しようという動きが広がっている。背景には、基礎・臨床研究を通じて、香り成分(精油の芳香物質)の効果を科学的に実証できるようになってきたためだ。

そもそもアロマセラピーとは、植物由来の精油を使用することで自然治癒力を高め、心身の疾病予防や治療を行う療法を指す。意外にも、医療行為としての歴史は古く、1920年代にフランスの科学者が火傷の治療にラベンダー精油を使用したことにはじまり、その後、1960年頃から欧州各国に波及していったという。

アロマセラピーは大きく分けて、医療的な見地から発達したフランス系の「メディカル・アロマセラピー」と、美容的側面の強い英国系の「エステティック・アロマセラピー」がある。

「フランスやベルギーでは、アロマセラピーは長らく医療行為として認められてきました。そのため、精油は医薬品として扱われ、薬局でしか販売することができません。対して、エステティックサロンなどの美容分野から広まった日本では、精油は雑貨扱い。一般的に、アロマセラピーはまだまだリラクゼーションの1つと認識されており、安価な合成品も高価な100%天然物も、同じ精油として一括りに売られている状態です」と、星薬科大学薬学部特任教授で日本アロマセラピー学会理事長の塩田清二氏は語る。

塩田清二(星薬科大学薬学部 生命科学先導研究センター 特任教授)

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