「フラットな世界」という幻想 経営学が教える海外戦略の新常識

経営学の最前線で議論されている知見を解説したベストセラー、『世界の経営学者はいま何を考えているのか』の著者、入山章栄准教授が、「鎖国状態に近い」世界経済の現状と、海外戦略を考えるうえでの視点について語る。

ジャーナリスト、トーマス・フリードマンによる著作『フラット化する世界』は、世界的に大きな反響を呼んだ。しかし、経営学の立場からは、これに異を唱える研究成果も発表されている

ここ20年ほど、さまざまなところで「世界はグローバル化している」、「フラット化(均一化)している」という言説が目につきます。日本においても、「グローバル」の定義があいまいなままに、「日本企業はグローバル化し、海外に打って出ないと取り残される」とか「これから必要なのはグローバル人材だ」などと、「グローバル」という言葉が独り歩きしています。

それでは、現在の経営学の知見からは、「グローバル」はどのように考えられているのでしょうか。グローバル化の意味を再考し、とるべき経営戦略について考えてみたいと思います。

入山章栄 早稲田大学ビジネススクール准教授

世界はむしろ鎖国状態に近い

「グローバルとは何か」について経営学者が考え直すきっかけになったのが、ハーバード大学ビジネススクール教授(当時)のパンカジュ・ゲマワットが2003年に発表した論文でした。

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