日本の伝統を現代ブランディング 地域の「技」「モノ」に勝機 

日本の伝統工芸は市場が縮小し、職人の高齢化、承継者の不足が課題となっている。伝統技術を「伝統工芸品」ではなく、身近なモノづくりにいかすことはできないか。技術の独自性をいかし、現代に合わせたブランディングで商品開発に挑む。

黒田 幸 KARAFURU 代表取締役

イタリアで感じたプロダクトの強みとは

漆塗りに藍染め、和紙など、日本各地にはたくさんの技と伝統が受け継がれている。時を超え、人の手から手へと受け継がれてきた伝統工芸。日本人の宝物であるにもかかわらず、後継者不足や時代の変化に伴う需要の縮小などにより、その未来は決して明るいとは言えないのが現状だ。

そんな中、「伝統工芸の技術を今の生活に結び、伝統工芸の未来と私たちの生活を晴れやかなものにしたい」と起業したのが、KARAFURU代表の黒田幸氏。日本のものづくりや伝統工芸に興味を持ったきっかけは、大学卒業後に就職した情報誌の編集者時代にあった。

「モノ系の雑誌で、ものづくりの現場から最終的な商品まで取材していました。そこで、たくさんの職人に出逢った。ヨーロッパでも伝統工芸の職人の多くは日本と同様に、家族経営の小さな規模で事業を行っています。しかしヨーロッパでは、ファミリービジネスで展開していても、全世界で知られ、受け入れられているものが多い。これは何が違うのだろうという疑問を持ったのが始まりですね」

その後退職し、イタリアへ留学。現地でフリーの編集者として様々な地方をまわった。そこで、イタリア人が持つ“地元の誇り”の意識に気づく。

「イタリア人は自分の国が一番だと自信を持っています。イタリアの諸都市はもともと都市国家として発展しているので都市として個性があり、そのため出身地ごとに地元に対する思いが深い。日本も藩制の時代が長かったのでそういう意識が強くても良さそうなのですが、東京などの大都市に憧れる傾向が強かった。今では少し風向きが変わっているように思いますが。自分の住んでいる場所や出身地に誇りを持っていることがプロダクトの強みにもつながっているのではないか、と肌で感じました。日本も日本なりに自国、地域の良さを理解し、発信しなければならないことを痛感しました」

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