電通がロボット事業を始める理由は、市場内の「ギャップ」にあり

11月、電通が新たな組織「電通ロボット推進センター」を立ち上げた。大手広告会社がロボットビジネスに参入する理由は、テクノロジーと消費者ニーズの「ギャップ」にある。

トヨタ自動車、東京大学先端技術センター、ROBO GARAGE、電通などが手掛けた「KIROBO」プロジェクト。世界的な話題となり、YouTubeの2013年の年間映像にも採用された

アートディレクター、CMプランナー、コピーライター、キャラクターコンテンツの専門家、ロボット工学専攻者――。電通ロボット推進センターには幅広い人材が顔を揃える。この異色の組織は、今後、ロボット産業でどのような役割を担うのだろうか。

電通は、センター設立以前からロボット事業に携わってきた。その代表的なものが、2012年にトヨタ自動車、電通などが手掛けた「KIROBO」プロジェクトである。ロボット宇宙飛行士KIROBOを国際宇宙ステーション(ISS)に送り、宇宙飛行士・若田光一氏と世界初の「宇宙での人とロボットとの対話実験」を行った。

コンコルドはなぜ失敗したか

このプロジェクトマネージャーを務めた西嶋賴親氏が、電通ロボット推進センターの代表だ。西嶋氏はサービス分野のロボット市場拡大に期待する一方で、日本のロボット開発にはもっと良くなるポイントがあると指摘する。

「iRobot社の家庭用掃除ロボット『ルンバ』は800万体売れていますが、現在、日本でこれだけの販売数をあげているものが少ないのです。例えば介護用ロボットはとても高機能なものもありますが、一般ユーザにとっては高額なものが多い。いまロボットは天才的な方が作られて、市場を『けん引』する場合が多いように感じますが、市場に『寄り添う』視点も重要だと考えました。そこで、開発者と利用者の間に立って市場のニーズに即したマネジメントをしたり、ロボット開発にも携わることで、日本のロボット産業を活性化させたいと思っています」

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