過去の「失敗」から学ぶ ロボットビジネスの課題と可能性

過去にも幾度となく訪れたロボットブーム。なぜ今まで市場化は上手くいかなかったのか。そして、今回のブームは「本物」になれるのか。

メーカーとユーザー間のギャップ

サービスロボットのブームは幾度となく訪れ、去っていった(2005年愛知万博)Photo by 陳柏翰

「5年以内に実用化します」。これは今から約10年前、多くのロボット開発者が口にしていた言葉である。

日本では今、ロボットの本格普及期を迎えようとしており、ロボットビジネスがブームとなりつつある。しかし、これまでも何度かブームはあり、特に2005年の愛知万博では63種類のロボットが披露され、その期待も大いに高まったが、実際商品化されたロボットは極めて少なかった。

Photo by Yasunobu HIRAOKA

なぜ、ロボットビジネスはうまくいかなかったのか。

その要因として挙げられるのは大きく分けて3つ、「技術面」「価格面」「安全面」だが、なにより大きいのはメーカーとユーザー間に横たわる「ロボットに求める」ギャップの大きさだろう。ユーザーのロボットへの期待値の高さと、現実の技術や製品が乖離しているのだ。ロボット開発者は、工場や介護現場など人が行う作業をすべてロボット技術で実現しようとしてきた。結果、高度な機能がつけられ、価格も高いロボットとなったが、ユーザーが期待したほどの効能はなく、現場で使い物にならないロボットが多く作られてきた。

忘れてはいけないのは、ロボットはあくまでも課題解決の手段に過ぎないということだ。ユーザーにとって、その手段はITでも、どんなものであっても良い。しかし、現場のニーズを見ずにロボットを開発し、「作ってから売り先を考える」という日本のモノづくり業の悪い癖が繰り返されてきた。

だが、過去の失敗を糧にメーカーの経験値は着実に上がってきており、どのようなロボットが、どの分野なら必要とされ、どの程度の価格なら受け入れられるかがだんだん見えてきた。そして、人の代替を目指すのではなく、人を支援し、人と協調するロボットの開発も着実に進んできている。

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