農林水産省が取り組む地方創生 農山漁村の天然資源に可能性

かつて地方の大きな「ビジネス」は、4兆円の規模を誇った農村でのコメ作りだった。今はそれも2兆円規模に落ち込み、今後の需要増も期待できない。農林水産省は、地方創生に向けた新たな事業創出に乗り出している。

資料:日本学術会議「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申)」(平成13年11月)及び関連付属資料

農山漁村の米以外の地域資源を活かす

地方からの人口流出が懸念されている中、農林水産省は「農山漁村の豊かな天然資源」に地方活性化のカギを見る。関東農政局長を務める末松広行氏は、森林資源を事例に地域資源の可能性を示唆する。

日本の森林率は世界3位、森林蓄積量もこれまでになく増加。森林率は国土に森林が占める面積で、森林蓄積量は森林を構成する木々の体積を示す。森林蓄積量が高いことから、太く育った原材料として利用できる木材が豊富にあることがわかる。これは昭和25年から行われてきた植林の成果だ。

「世界的に森林が急減しつつある中、日本は特異な状況にあります。ただし同時に、災害や荒廃を防ぐため、森林の保全が早急な課題ともなっています」

農林水産省・関東農政局長、地域活性学会理事 末松 広行 氏(10月開催の地域活性学会研究会にて)

森林の保全には、適切な間伐が必要だ。木々が密生していると地表に日光が届かず、成木は貧弱になり、地表の下生えが育たない。結果として木材品質の低下や地盤の弱体化を招く。日本の森林は大半が山林であり、災害防止のためにも間伐が必要だ。

「間伐作業や切り出した木材の加工など新たな雇用を生み出すことができます。地域活性と森林保全が両立できるため、『今こそ伐って使おう』をスローガンに施策を進めています」

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