長期滞在したい国8年連続1位 マレーシア・ペナン島の観光戦略

短期型観光旅行から1週間以上の長期滞在へのシフトを目指す観光地が増えている。しかし、受け入れ態勢はまだまだこれからといった状況である。長期滞在のお手本といえるマレーシア・ペナン島の事例から、成功の条件を学ぶ。

長期滞在者の誘致に成功するマレーシア・ペナン島 Photo by Marcus Tan

ペナン島は、マレーシア有数のリゾート観光地で、ハイテク産業の集積地としても知られる。人口は75万人で、中国系、マレー系、インド系など人種も多様である。

18世紀後半当時の統治者との条約で、 イギリスに植民地として割譲されていた歴史があり、中心市街地は「ジョージタウン」と呼ばれている。東西を結ぶ貿易拠点として発展し、今なお、イギリス植民地時代のコロニアル調の建物や、マレー、中国、インド式の建物が混在して残されている。エキゾチックな雰囲気は、「東洋の真珠」とも呼ばれ、ジョージタウンは2008年にユネスコの世界文化遺産に指定されている。

また、料理も中華料理、マレー料理、インド料理、イタリアン、フランス料理、日本料理などがそろっており、高級店から屋台村まで総じてレベルが高く、長期滞在者にとっても飽きることがない。

市場の様子。豊かな食文化も滞在の理由になる

年間約280万人の外国人観光客が訪れ、日本からは3-4万人が訪れている。

ペナンに在住する日本人は、外務省海外在留邦人統計によると約3500人。そのうち2000人は企業等の駐在者とその家族で、1500人が永住者と長期滞在者。観光ビザで滞在する場合も多い。最近は北海道から冬季だけペナンで生活するケース、定期的に滞在して、インターネットと電話で仕事をこなすケースも増えてきている。

ビーチ沿いにはホテルや長期滞在者向けコンドミニアムが立ち並ぶあ

医療体制、食、ビザ長期滞在したくなる仕掛け

マレーシアは一般財団法人ロングステイ財団の調査によれば、海外で長期滞在したい国として8年連続で第1位となっている。

マレーシア政府は、2002年から「マレーシア・マイ・セカンドホームプログラム(MM2H)」を実施しており、この制度によるビザを取得すれば、10年間自由に滞在できる。他国で適用されている「年金者用ビザ」や「退職者用ビザ」とちがい、年齢制限もなく、延長も可能である。2012年現在、日本人は2445名が取得しており、取得者数は世界一である。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り60%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。