地場産業をプロデュース 「売る」ために情報もデザイン

総合プロデューサーとして参画した「九州ちくご元気計画」など、数々の地域活性化のプロジェクトを手掛け、グッドデザイン賞など多数の賞を受賞。江副氏は、商品開発から広報・マーケティングまでを見直し、地域の活性化につなげる。

江副氏がプロデュースした、のこぎり付き弁当「日田きこりめし」。大分県日田市を中心とした林業の衰退に際し、林業への関心の喚起と、売上げの一部を山の手入れの費用に充てるために開発された。グッドデザイン賞、ADC賞を受賞

商品の企画・開発など始まりの段階から、広報・営業・マーケティングまでを手掛ける事業プロデューサー・江副直樹氏。江副氏は数多くの地域資源、特産品のプロデュースを手掛け、その成果は「グッドデザイン賞」、「ADC賞」など華々しい賞を受けている。

埋もれた地域資源を再構築

 

江副氏は、もともとはコピーライターだった。商品の良さを発信する仕事だが、「だんだん、商品自体をこうすればもっと売れるのに...と思うようになったんです」と語る。商品開発の段階、つまり「ゼロ」から関わりたい。それには開発の全体統括をするプロデューサーになるしかない。そして、「事業プロデューサー」の看板を掲げるようになった。江副氏、40歳の決意である。

江副直樹 ブンボ 代表

江副氏は現在、大分県日田市在住。以前は宝珠山村(現東峰村)という、福岡県の山間地に住んでいた。

 

「地域にはすばらしい専門技術があります。たとえば九州には、工場の海外進出が加速する以前、各地に縫製工場があった。しっかりした縫製技術があるのに、それが活用されていない。誰かが、こうした散在する技術を再構築し、広げていかなければと思い、地域のものづくりを支援しています」

販売のために情報もデザイン

 

では、特産品開発のために足りないものは何か。江副氏は、こう答える。

 

「デザインですね」

 

それを如実に示すのが、江副氏がプロデューサーとして初めて関わった佐賀県の建具活性化事業だ。

 

「建具は、建築の中で一番繊細な技術が必要とされます。そこで、プロダクトデザイナーと組んで家具をデザインしました」

 

消費者にとって心地いい家具は、必ずしも高度な技術を要しない。完成したデザインを見た職人たちは、「こんなに簡単なものでいいのか」と驚いたという。その後の戦略も江副氏らしい。

 

「メディアに取り上げられ、話題になることを目指しました」

 

この時はNHK佐賀の番組に取り上げてもらうことに成功した。商品のデザインとともに、情報のデザインも重要だと江副氏は言う。

 

「ウェブサイトやパンフレットをどうつくるかは大切。そしてメディアに取り上げられることで、情報が無料で拡散していく話題づくり、口コミづくりなど、戦略的な発信も必要です」

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