田舎発「地デザイナー」という考え方

ある頃から、田舎の景色が浮かび、そこに暮らす人々の声が聞こえてくるような、味のあるデザインが高知県に増えてきた。それらを手がけたのは迫田司氏。氏が唱える「地デザイナー」とは何か。

サコダデザインオフィス。「下手でもいいから地域の人と一緒にデザインしていく方が、思いは絶対にのる」(迫田さん)

高知県の北西部に位置する四万十市西土佐地区。どこにいても山と四万十川の長閑な景色に包まれるこの場所から、全国から注目を集めるデザインが誕生している。都会に張り合うでも擦り寄るでもなく、田舎の匂いや人の息づかいを真っ直ぐに感じさせるデザイン。それらを手かげたサコダデザインの迫田司氏はこう語る。「デザイナーがもてはやされて『あの人にさえ頼めばうまくいく』と考える人もいますが、それでは思考停止状態になっていまいます。有名な人や力のある人がデザインすれば売れるだろうが、果たしてそれが田舎にとって幸せなのでしょうか? 下手でもいいから地域の人と一緒にデザインしていく方が、思いは絶対にのるんです」

地域を表現する「地デザイナー」

迫田さんがデザインした商品

カヌー好きが高じて、この地に移住した迫田さんが最初に手がけたのは隣の住民が作っていた蜂蜜のラベルだった。「せっかく地蜜を採っているから自分で売りたい。お前は絵が描けるんだろう」というシンプルな理由での依頼。ラベルの印刷代がないため判子で量産。住民が「ハチミツ用のヘラも作れる」と木を削って一気に10本作り、瓶にヘラを結わえる縄も編み、その腕の凄さに迫田さんは驚いた。そして、迫田さんが作ったラベルと、住民のアイデアと技を組み合わせた商品が完成。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り70%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。