文具メーカーが開発した小型ランドリー

景気低迷で企業の文具購入が減少している。各文具メーカーは新機能文具やデジタル文具で個人消費者を狙い始めた。キングジムは「オフィス環境改善用品」として文具以外の商品開発にも力を入れている。

2008年のリーマン・ショックによる景気低迷がきっかけで文具への関心が高まっている。業績が悪化した企業はコスト削減のため社員に支給していたペンなどを購入しなくなり、メーカーの売り上げも大幅に落ち込んだ。

一方、消費者が自分で文具を買うようになり、こすって消えるボールペンや段ボールも切れるハサミなど、新機能文具が文具店で発見される機会が増えた。住宅や車など大きな買い物はできない不景気の時期は、消費者は付加価値の高い文具を持つことで購買欲を満たそうとする傾向にある。

キングジムは1927年の創業以来ファイルの専門メーカーであったが、1988年に「テプラ」でデジタル文具に参入し、成功を収めた。2008年発売のデジタルメモ「ポメラ」は、初年度に当初計画比3倍超の売り上げを記録。現在はファイルやテプラ、ポメラをはじめとするデジタル文具が自社の柱となっている。2010年以降、女性向け生活雑貨ブランド「Toffy(トフィー)」や、会員制自習室「アカデミーラウンジ」も展開。多彩な事業を手がける企業だ。

オフィス製品の隙間を狙う

新たに挑戦している商品ジャンルが「オフィス環境改善用品」だ。エアコンから出る冷暖気をコントロールする"ハイブリッドファン"や、A4ファイルサイズの箱に防災常備品が入った"帰宅支援キット"など、文具とは全く異なる視点で、オフィスを快適にする商品を展開している。

デジタル文具の開発を担当する小山さんは、入社1年目の時、身近な気づきから「オフィス環境改善用品」の開発を始めることになった。きっかけは若手が持ち回りで担当する給湯当番の仕事であった。「机を拭いたり、お茶を入れたりする給湯当番は女性も男性も順番に担当します。男性が当番になると、使用したふきんを洗って干しておかないことが多く、翌日の女性が代わりに洗って干さなくてはなりません。冬場は水が冷たく、手も荒れ、匂いもつくので、女性からの不満の声も多く聞きました。自分自身の作業も楽にできて、かつ男性にも洗ってもらえるいい方法がないかを考えて、"給湯室で使えるコンパクトな洗濯機"を作りたいと思いました」。

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