低迷する多摩・離島の経済振興の鍵は地域資源

猪瀬知事が施政方針で力を入れると宣言した多摩・島しょ地域の振興。多摩地区で重視されるのは、既存資源の再評価と企業や事業者の主役化、地域の共生だ。一方、島しょ地域では「住み続けられる島づくり」が振興のポイントになる。

東京都では現在、二つの大規模な地域活性化計画が進行中だ。一つは少子高齢化が急速に進む多摩地区の再開発、もうひとつは国の離島振興法に基づく伊豆諸島地域の離島振興である。

多摩地区は戦後の高度成長期に都心のベッドタウンとして急速に都市開発が進み、12年には人口400万人を擁する都市に発展した。しかし、かつて地域経済の担い手だった世代は高齢化し、合わせて少子化による人口の縮小で、インフラの更新を含めて地域の活性化が求められている。

一方、伊豆諸島地域は国が離島振興対策実施地域に指定した大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島および青ヶ島の2町6村・9島の人口減に歯止めがかからず、これを食い止めるため今後10年間で住民の定住化を図れるよう地域経済を振興する。いずれも急速に進む少子高齢化で経済が空洞化する地域社会が背景にあり、その解決策は将来の日本を考えるうえでも重要な事例となる。

地元企業が地域の主役に

都は将来の多摩地区を見据えた「新たな多摩のビジョン(素案)」を13年2月に策定した。総務局行政部多摩振興担当課課長の神永貴志氏は「ビジョンで重要な視点となったのは、既存資源の再評価と企業や事業者の主役化、そしてつながりによる共生」と指摘する。既存資源の再評価は都心と近接した豊かな自然環境の存在や、大学の研究機関との産学連携の取りやすさや、南北道路の整備による他地域との新たな交流などで、これを資源とし活用しようとする。また、企業や事業者の主役化は、地元企業や事業者がこれまで以上に地域経済の振興や街づくりに積極的に関わることを支援する。それもCSRとして地域貢献するのではなく雇用を確保し経済を活性化させるために、ビジネスの一環として地域との関わり合いを求めている。このなかでは地域の金融機関として信金などの役割も大きく、経済の活性化や産学連携など新規ビジネスの支援やマッチングなどに期待を寄せる。

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