オープンなアメリカのコワーキング 会社の垣根越えヒット連発

2013年初頭の現在でも日米ともにますますコワーキングスペースが増え、スタートアップを中心としたユーザーに多く利用されている。その理由はやはり流動的で小さなチームでも気軽に集まれる事、長期の契約が必要とされない事、投資家の出入りが盛んである事、魅力的なイベントが頻繁に行われる事、クラウドを使えば大きな施設は必要ない事、メンターが充実している事等、数多い。日米双方のコワーキングスペースの魅力を探った。

(左)Dogpatch Labs(ドッグパッチラボ)で作業をするInstagram(インスタグラム)チーム
(右)Instagramはサンフランシスコのコワーキングスペースから生まれた!

コワーキングスペースから生まれた、インスタグラム。

現在からさかのぼること3年程前。

サンフランシスコの湾岸沿い、Pier38と呼ばれる古い桟橋のビルをオフィスに改造した場所で、二人の若者がレッドブルを片手に寝る間を惜しんで夜通しiPhone向け写真アプリの開発を進めていた。

彼らは視覚デザイン要素とユーザーエクスペリエンスを最も重要視し、満足のいくまでとことん追求した。そしてそのアプリはリリース後24時間以内に約2万5000、3週間以内に30万ユーザーを獲得した。

アプリの名前はインスタグラム。2010年にリリースされたこのアプリは元々ドッグパッチラボというコワーキングスペースにて二人の若者を中心に開発され、その後約18ヵ月で彼らの会社 バーボン・インクはフェイスブックに10億ドルにて買収されることとなった。

一見すると典型的なシリコンバレーのスタートアップサクセスストーリーのように思われるが、実はこれまでの多くの会社とは異なる点も幾つかある。元々彼らが開発していたのはロケーション型チェックインアプリだった。

しかし、リリース直後に周りの人々からフォースクエアという極似しているサービスがあることを知る。そこで、周囲のアドバイスとフィードバックを元に実装されている機能のほとんどを取り除き、写真をアップロードしフィルターをかけるだけの極めてシンプルなアプリ、インスタグラムを誕生させた。

リリース直後から予想以上のアクセスがあり、サーバーがパンク。すぐに増設するも、コストがふくらみ、資金が底をつく寸前に、知り合いの個人投資家から即日での25万ドルの出資を受けた。

その後、そのシンプルさと使い易さ、ユーザーインターフェースの美しさがツィッターのファウンダー、ジャック・ドーシーの目にとまり、彼がツィートしたことにより爆発的なヒットを記録した。

実は、この一連のいきさつで彼らをサポートしたのが、コワーキングスペース ドッグパッチラボの入居者、もしくは出入りしていた人々なのである。

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